「雨の季節になると、車がすぐ汚れて気になるんです」
このご相談、毎年5月の終わりから6月にかけて少しずつ増えてきます。東北の梅雨入りは例年6月中旬ごろ。あと1ヶ月ちょっとです。今日は、梅雨が始まる前に一度やっておきたい"塗装を整える"というお話です。
雨は、ただの水ではありません
「雨で車がきれいになる」と思っている方が、いまだに少なくありません。気持ちはわかります。本当にそうなら、こちらも楽なんですが — 現場で日々塗装と向き合っていると、雨はむしろ"汚しの素"だと感じています。
雨水には、こんなものが混ざっています。
- 大気中の塵やチリ
- 弱い酸性物質(いわゆる酸性雨)
- 走行中に巻き上がる鉄粉(ブレーキダストなど)
これが乾くと、ボディの上にぽつぽつとシミになって残ります。これが水シミ(イオンデポジット=雨水や水道水のミネラル分が固着した跡)です。一度しっかり焼き付くと、洗車では落とせなくなります。
梅雨は、洗車のタイミングを逃しやすい
もうひとつ、梅雨ならではの厄介さがあります。
「雨が降っている → 洗っても無駄」
「やっと晴れた → 用事が重なって洗えない」
「気づいたら、また雨」
このループに入ると、汚れと水シミが重なって、ふた月分のダメージがいっきに塗装に蓄積します。これを毎年繰り返している車は、3〜4年もすると塗装のくすみが目に見える形で出てきます。
「梅雨を乗り切る」ではなく「梅雨と付き合う」
うちの店では、梅雨入り前のこの時期に下地磨きとコーティングを一度入れておくことを、よくおすすめしています。
下地磨きで、これまでについた線キズや水シミを丁寧に取り除く。そのうえで撥水性のあるコーティングをのせると、塗装と雨水のあいだに、すべりのよい一枚の層ができます。
そうすると、雨が降っても水滴がきれいに弾かれて、乾いたあとのシミが格段に残りにくくなる。次の晴れ間にサッと水をかけるだけで、汚れの大半は流せるようになります。
つまり、雨を"敵"にしないで済むようになる、ということです。
先日お預かりしたお車の話
つい先日、3年ほど前にコーティングをさせていただいたお客様が、メンテナンスにお越しくださいました。
「梅雨どきもあまり気にしないで乗れていた」とのことで、改めてボディを見せていただくと、確かに目立つ水シミはほとんど残っていません。同じ年式・同じ色でコーティングをしていない車と比べると、塗装の落ち着きがまったく違うんです。
これはコーティング剤そのものの力というより、最初の下地磨きで土台を整えてあったからだと考えています。守りの一番下にある層がしっかりしていると、何年か経っても上の層が役割を果たし続けてくれる。そう実感した一台でした。
まとめ
- 梅雨の雨には酸性物質と鉄粉が含まれている
- 梅雨は洗車のタイミングを逃しやすい時期
- 梅雨入り前に「下地磨き+コーティング」で土台を整えておくと、雨と無理なく付き合える
派手な技術の話ではありません。ただ、毎年の梅雨で塗装が少しずつ削られていくのを、現場で見てきました。だからこそ、少し前のこの時期に整えておくことに意味があると考えています。
気になる方は、梅雨入りまでの一ヶ月のあいだに、一度ご相談いただけたらと思います。車を消耗品にしないで、長く付き合える状態で残す — うちの店が大切にしているのは、結局そこです。